【共感しかない等身大ラブコメ】アクセル全開で突き進む、愛しき日々。
最近イチオシの作家さんがいる。前作で一気に大ファンになり、最新作も継続して追っかけ中。
今回はその連載中作品をご紹介。
『正反対な君と僕』
著：阿賀沢紅茶
『正反対な君と僕』とは
2021年1月、『ジャンプ＋』にて読み切りが掲載。
Twitterでは1.8万いいねもの支持を集め、2022年5月に同アプリにて連載開始。
2022年7月に発売されたコミックス1巻は即重版に。
回を重ねるごとにファンを獲得し、「次にくるマンガ大賞2022」Webマンガ部門にて第2位に輝く。
待望の第2巻は10月4日発売！
あらすじ
明るく元気いっぱいで友だちが多いが場の空気に合わせてしまいがちな女子高生・鈴木は、自分の意見をしっかり持っている物静かなメガネ男子・谷に絶賛片思い中。人によって態度を変えない谷に憧れているものの、周りの目を気にしてなかなか普通に話しかけられない日々。
そんなある日、下駄箱前で谷に偶然会った鈴木は勇気を出して一緒に帰ろうと誘ってみたところ――。
おすすめポイント
- ステレオタイプとは違うキャラメイク
- フィクションにおいて一般的な造形でいえば、派手で元気なキャラクターが自分の意見をはっきり持っていて、おとなしく控えめなキャラクターが場の空気を読んで合わせてしまう、という方がよく見かける。しかし、鈴木と谷はそれと真逆。なんだけど、それぞれのキャラクターの描写に説得力がある。
作者はインタビューで次のように述べている。
この「派手に見える人がおとなしい人を好きになるとき」が本作ではきちんと描かれている。どうして鈴木は谷を好きになったのか、逆に基本的に無表情の谷が鈴木に惹かれる様子も、無理なく物語に組み込まれている。人物造形やストーリー展開が自然なのだ。「クラスで目立たない人が、輪の中心にいるような目立つ人からなぜか好かれる」という場合、好かれる側視点の漫画は結構あるなと思って、好きになる側視点の漫画も読みたいなと思ったのがきっかけです。そこから、派手に見える人がおとなしい人を好きになるときってどういう理由だろう、ということを考えていきました。
- 共感できる“あるある”の心理描写
- 明るくポップな絵柄と、合間合間に挟まれるギャグが可愛らしい阿賀沢先生の作品。加えて、10代の頃、誰もが感じたことがあるだろう心の葛藤がとても丁寧に描かれているのも特徴の一つ。
前作『氷の城壁』でも感じたことだが、阿賀沢先生の作品は10代特有の“表に出せない感情”の描写がびっくりするほど的確で共感の連続だ。実際、私も中高生の頃にもやもやと抱いていた想いが、ここまで明確に言語化されていることに驚いた。今までうまく言葉にできなかった、消化できなかった気持ちをやっと明確に理解できたような気がする。
大人になった今「ああ、あのときの私はこういうことだったんだ」と納得できるようになったり、あらためて自身のコミュニケーションを見つめなおすきっかけをくれたり、何歳でも読んでみてほしい作品だ。その反面、自分が10代のころにこの作品があったら…と思わずにはいられない。
といっても、決して重い暗いどろどろとした話ではない。
こう作者が話すように、鈴木や周囲のキャラクターたちの人柄もあってか、明るく軽やかにスラスラっと読めてしまう。その中で前述のような細やかな心理描写があるものだから、作者の手腕には驚かされることばかりだ。『ジャンプ＋』の読者さん的に、ラブコメに重たさは求めてないだろうなと思ったので ふわっと明るい読み味にしたいと思っています。マイナスな感情を描いても、暗くなりすぎないように。
- 登場人物みんなが愛おしい
- 本作には鈴木と谷のほかに、個性豊かで愉快なキャラクターが多く登場する。
根から明るく賑やかな渡辺や、「ツレのツレは友だち」を地でいく山田、鈴木曰く「谷くんとなんかちょっと似てる」冷静なツッコミを入れる佐藤、好きになる人みんなクズ男な東(アズマ)。みんな鈴木の友だちだが、今まで関わりのなかった谷との関係をすんなり受け入れ、「タイプが違う」とか「見た目が地味」とかカースト的なことを気にする人はいない。それはひとえに“鈴木の選択を否定しない”からなのだ。
一方で、そう簡単に割り切れない平(タイラ)というキャラもいる。谷のことを「カースト欄外のモブ」程度にしか思っていなかった彼は、鈴木と谷のことを知ってまず「鈴木、谷でいいのか？」と思ってしまう。周りが谷と普通に接していることにもモヤモヤ。この平のひねくれ思考に関しても、とても分かりやすく表現＆分析されている。
どちらかといえば、平のような考え方をする人が多いのではないだろうか。かくいう私も、かつてはヒエラルキーを気にしてしまう人間だった。いや、学生時代ほどではなくても、今もそうかもしれない。だから平の悶々とした葛藤や疑問に共感したし、それはなぜか？の答えに至った平に感心した。
「悪い人間がいない」と人から言われて「そう見えるんだ！」とびっくりしました。私としては、主人公含めて全員のよくないところ、めんどくさい部分や欠点も描きたいと思っています。多分、物語の中で対立する立場になるキャラクターであっても、「こういう考えからこう行動している」というのが見えてくることによって、「悪い人間がいない」というジャッジになっているのかな…？と思います。その人の視点がないと、わからないから悪役に見える。
キャラクターの行動心理、人間関係の表現について作者はこのように言及している。人の数だけ価値観や考え方があるから、人間関係において「こういうことが起きたらこうするのが正解」というのはないと思うんです。「この人はこう思ったから、こういう行動をとった」というそれぞれをちゃんと描きたい。
思春期ならではのどうしようもない感情や見栄、それらと向き合う柔軟なこころ。共感すると同時に見習いたい素直さが、彼らにはあるのだ。そんな彼らがどうしようもなく愛おしい。 - ストレスフリーで読める等身大ラブコメ
- 片思いからお付き合い、一緒に過ごす放課後、初デートなど、アクセル全開のもだもだしない展開が清々しい。作中では鈴木と谷が価値観の違いを感じたり、意図と反する意味で相手に伝わってしまったりする場面も出てくる。しかし、そのたびに自分自身と向き合い、気持ちを言語化して互いに歩み寄っていくので、もどかしい状況が長引かない。だから読者もスッキリと気持ちよく、ストレスなく見守っていられるのだ。
周囲をかき回す理不尽なトラブルメーカーや、理解の範疇を超える倫理観のかけ離れた人物が出てこない点も大きい。彼らを見ていると微笑ましく、温かい気持ちになる。これからも鈴木と谷の恋を応援せずにはいられない。
個人的好きシーン
（『正反対な君と僕』1巻）
▲びっくりするとお団子が飛び上がる。ユニークな漫画的表現もポップな絵柄と合わさってかわいい。
（『正反対な君と僕』1巻）
▲阿賀沢作品では単語そのまんまの効果音がよく出てくる。「ごは～ん」って（笑）
（『正反対な君と僕』1巻）
▲ゴマポン。あだ名が秀逸すぎる。
（『正反対な君と僕』1巻）
▲今の私、最強！という鈴木をスター状態にする表現力に脱帽。
第1話試し読み
作者のTwitterにて第1話が読めるので、気になった方はぜひ！
『正反対な君と僕』第１話 試し読み
— 阿賀沢紅茶 (@agasawa_tea) August 31, 2022
1/11 pic.twitter.com/fw5vOfF6VL
『正反対な君と僕』を読めるサービス
現在、配信されている電子書籍サービスは以下に。紙の単行本を購入やレンタルできるオンラインストアも掲載しているので、紙派の方も要チェック！
第2巻は2022年10月4日発売。1巻は発売後、即重版になったので予約が確実！
| サービス名 | 取り扱い | 特長 | サイト |
|---|---|---|---|
| ebookjapan | 電子 | 取り扱い85万冊以上！ ・無料試し読みが豊富 ・PayPayが使えてポイント還元キャンペーンも |
▼新規登録はこちら |
▼既に会員の方はこちら |
|||
| 漫画全巻 ドットコム |
紙＆電子 | 全巻まとめてお得に購入！ ・無料購入や無料配信の電子コミックが豊富 ・無料でクリアカバーがついてくる |
 |
| まんが王国 | 紙＆電子 | 無料漫画＆電子コミックが3000作品以上！ ・毎日最大50％ポイント還元 ・期間限定最大80％ポイント還元 |
 |
| DMMブックス | 電子 | 新規購入限定70％offクーポン！ ・毎日お得なキャンペーン実施 ・無料作品も豊富 |
 |
| DMMコミック レンタル |
紙レンタル | 1冊115円からの宅配レンタル！ ・ネット予約でご自宅までお届け＆集荷orコンビニで返却 ・レンタルで貯まったDMMポイントを使える |
 |
| スキマ | 電子 | 無料で32000冊以上読み放題！ ・人気作品の期間限定無料キャンペーンなど実施 ・スキマオリジナル作品も |
 |
| 楽天ブックス | 紙＆電子 | 全品1冊から送料無料！ ・楽天ポイントが貯まる＆使える ・「あす楽」商品なら翌日届く |
 |
| アニメイトオンライン | 紙 | 日本最大級のアニメグッズ専門店！ ・店舗限定特典が充実 ・アニメイトポイントが貯まる＆使える |
 |
| U-NEXT | 電子 | 映画、ドラマ、アニメだけでなく電子書籍も！ ・31日間無料トライアルで動画見放題＆ポイントもらえる ・もらったポイントでコミックが買える |
 |
青春時代の忘れものを丁寧に拾ってくれているような作品。
青春時代にいい思い出がある人もない人も、これからな若者もとっくに過ぎた大人も、人づきあいに悩んでいる人も自分が分からなくなっちゃった人も、みんなぜひ読んでみてほしい。
